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| キャラバン |
United Kingdom |
キャラバンはソフトマシーンとともにカンタベリーミュージックという巨大な音楽大系を築き、その中心にあったグループである。
しかも、現代音楽やジャズなどに傾倒して無機質で冷たい感じであったソフツの音楽性に比べ、キャラバンの音楽は独特の暖かさとユーモアと一瞬吹き抜ける翳りがいかにもカンタベリーミュージックらしい。
ソフツもキャラバンもWILD FLOWERSというグループが元になっており、そのメンバーがそれぞれに分かれていったわけだが、完全にメタモルフォーゼしたソフツと、ほとんど変わらずにそのまま大人になったキャラバン、この両者がともにカンタベリーという枠組みで語られるところにカンタベリーミュージックの奥深さと面白さがあると思う。
キャラバンのサウンドの要となっているのが、デヴィッド・シンクレアのオルガンプレイ。その独特の歪んだオルガンサウンドによるシングルノートのソロは、一聴して彼のものとわかるぐらい個性的で、それ自体カンタベリーミュージックの象徴であるといえる。 |
| In The Land Of Gray And Pink |
1971 |
| グレイとピンクの地 |
 CoverArt: Anne Marie Anderson1. Golf Girl
(5:01)
2. Winter Wine
(7:36)
3. Love to Love You (and Tonight Pigs Will Fly)
(3:04)
4. In the Land of Grey and Pink
(4:59)
5. Nine Feet Underground
(22:42)
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初期の名作と言われる3rdアルバム。まず目を引くのが美しいアルバムジャケット。鋸の刃のような遠くの山々、長閑だがどこか不思議な空気の漂う集落、そしてそれを見下ろす山頂の城、といった風景が淡いピンクとグレイで幻想的に描きあげられている。プログレッシヴロックのジャケットは元々素晴らしいものが多いが、本作のジャケットは中でも飛び抜けていると思う。この絵のためにLP盤が欲しいくらいである。
さて肝心の内容だが、前半に小曲4曲、後半に組曲1曲という構成になっている。
2曲目の「Winter Wine」は、これぞカンタベリーという感じで、カンタベリーミュージックの雰囲気をつかむのに最適な曲。リチャード・シンクレアの甘い声質のボーカルと、カンタベリーミュージック独特のジャズのようでジャズでない浮遊感のあるコード進行が微妙なバランスで成り立っており、あと少しでもどちらかに傾くと陳腐な音楽に成り下がってしまいそうな不思議な緊張感のある曲である。
しかしなんといっても本作最大の目玉は5曲目の組曲「Nine Feet Underground」である。とはいうもののこの曲の評価は人によって大きく異なると思われる。
なぜなら曲に首尾一貫としたテーマが見当たらず、今ひとつ掴みどころがないからだ。曲のトータルな完成度を求める人にはあまり向かないかもしれない。
けれどもデヴィッド・シンクレアの変幻自在のオルガンワークを存分に堪能できるのはこの曲をおいて他になく、彼の溢れる才能が十二分に発揮された曲として、この曲は名曲なのである。なにしろ20分を超えるこの曲において、彼のオルガンが鳴っていないときはほとんどないのだから。しかも様々な音を使い分け、普通ギターで弾くようなフレーズまでオルガンでこなしているから恐れ入る(ギタリストもちゃんといるのだが)。
まさにデヴィッド・シンクレア・スペシャルのこの曲だが、12:40過ぎのジャズロック的なパートではベース、ドラムのリズム隊がもう黙っちゃおれんとばかりにデヴィッドに挑みかけ、激しいインタープレイを演じている。特にデヴィッドの従兄弟にあたるリチャード・シンクレアのベースは、ベースらしからぬ主張の強いラインをなぞってデヴィッドを強烈に刺激している。
それにしても、その嵐が去った後の16:00過ぎのヴォーカルパートの儚い美しさは一体なんだろう? メロディが良いのはもちろんだが、それを歌い上げるリチャードの優しい声がなければここまでの美しさにはならなかったと思う。決して歌唱力が高いわけではないのだが。
カンタベリー系にはそういうヴォーカリストが多い。元ソフトマシーンのロバート・ワイアットなど、天の声といわれるほどの美声の持ち主である。
余談だが、当サイトのサイト名はこの「Nine Feet Underground」から拝借した。
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| ★★★★★★★(7) |
| last update:2004/02/20 |
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