SOFT MACHINE
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ソフトマシーン United Kingdom
 カンタベリー・ミュージックの中心的グループ。
70年代のほとんどのカンタベリー系ミュージシャンがこのグループと何らかの形で関わったといっても過言ではない。
 彼らの長い歴史はメンバーチェンジの歴史ともいえる。メンバーチェンジを繰り返すことで音楽性を二転三転して育ったグループである。
 ローテクなポップグループとしてスタートしたソフツが、後に一流のジャズ・ロック・グループになることなど当時誰も想像できなかったことだろう。その変遷を辿って彼らの音楽を聴いてみるのも楽しみ方の一つかもしれない。
http://calyx.club.fr/softmachine/index.html
The Soft Machine 1968
The Soft Machine
1. Hope For Happiness (4:22)
2. Joy Of A Toy (2:50)
3. Hope For Happiness(reprise) (1:39)
4. Why Am I So Short? (1:38)
5. So Boot If At All (7:25)
6. A Certain Kind (4:14)
7. Save Yourself (2:25)
8. Priscilla (1:03)
9. Lullabye Letter (4:42)
10. We Did It Again (3:47)
11. Plus Belle Qu'Une Poubelle (1:00)
12. Why Are We Sleeping (5:33)
13. Bix 25/4 Lid (0:49)
 ヒッピー・ムーヴメントの影響を強く感じさせる、サイケデリック色の濃いポップ・アルバム。これがソフトマシーンの1stアルバムである。
 こうした音楽性は主に初代ベーシストのケヴィン・エアーズや、本作制作前に諸事情でバンドを脱退したヒッピー・ミュージシャンのデヴィッド・アレンが持っていたものなのだろう。だが後にソフツを英国一のジャズ・ロック・バンドに育て上げていくマイク・ラトリッジも、ここではサイケデリックな演奏に手を染めており、彼らの若々しさが感じられるという点でとても楽しく興味深い作品だと思う。
 録音状態はいかにも60年代的で音が割れまくっているが、この隙だらけのサウンドがかえって人間らしい暖かさを感じさせる。演奏の方はまだ荒削りな面があるものの、「Hope For Happiness」「So Boot If At All」などで聴かせるラトリッジ+ワイアットの激しいインタープレイからは後のジャズ・ロック・ソフツが垣間見える。ちなみにラトリッジ特有のファズ・オルガン・サウンドは本作ではまだ確立しておらず、割とノーマルなハモンド・サウンドでの演奏となっている。
 ところで当期のソフツはラトリッジ、ワイアット、エアーズの3人編成だが、作曲には次作から正式メンバーとなるヒュー・ホッパーや、その兄のブライアン・ホッパーも関わっている。ヒューは一般的にソフツのジャズ志向を強めた人物と目されているが、その彼の名前が単独クレジットされている「A Certain Kind」という曲は、ポップな本アルバムの中にあっても異色中の異色、甘い甘いラヴソングなのである。ワイアットの優しい歌声と、教会っぽい澄んだオルガンサウンドが奏でるメロディーがなんとも切ない名曲だ。こんな美しい曲が書けるのに、2nd以降では眉間に皺が寄るような音楽を志向するのは何故なのだろう? 「顔に似合わないからヤメレ」とか言われてしまったのかな(笑)
★★★★★★★(7)
last update:2005/03/11
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Volume Two 1969
Volume Two
1. Pataphysical Introduction - Part I (1:01)
2. A Concise British Alphabet - Part I (0:10)
3. Hibou Anemone and Bear (5:59)
4. A Concise British Alphabet - Part II (0:12)
5. Hullo Der (0:54)
6. Dada Was Here (3:26)
7. Thank You Pierrot Lunaire (0:49)
8. Have You Ever Bean Grean? (1:19)
9. Pataphysical Introduction - Part II (0:51)
10. Out of Tunes (2:34)
11. As Long As He Lies Perfectly Still (2:35)
12. Dedicated To You But You Weren't Listening (2:32)
13. Fire Engine Passing With Bells Clanging (1:51)
14. Pig (2:09)
15. Orange Skin Food (1:47)
16. A Door Opens and Closes (1:10)
17. 10:30 Returns To the Bedroom (4:13)
 2nd。前作と本作はサイケデリックポップ・ソフツである。ただベーシストがジャズ志向の強いヒュー・ホッパーに替ったため、若干演奏の緊張感が高まっている。3曲目「Hibou Anemone And Bear」ではマイク・ラトリッジ(k)の超個性的なオルガンソロが炸裂。ゲスト参加のブライアン・ホッパー(ヒューの兄)によるブラスの絡みも絶妙。なお、ライヴでのこの曲のテンションはスタジオ版の5割増! ぶっ飛んでます。
 アルバム後半「Fire Engine Passing With Bells Clanging」以降の曲には次の『Third』に通じるジャズ志向が表れているが、ワイアットのヴォーカルが入るところはまだポップであり、ジャズとポップが融合された稀有な音楽が完成している。
※最近は1stと2ndのカップリングCDになっているようです。
★★★★★★★(7)
last update:2003/12/22
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Third 1970
Third
1. Facelift (18:45)
2. Slightly All The Time (18:13)
3. Moon In June (19:08)
4. Out-Bloody-Rageous (19:13)
 ソフツの最高傑作。LP2枚組(CDでは1枚)全4曲という、レコード会社が青くなりそうな実験的大作アルバム。この当時のライヴ音源が近年大量に発掘リリースされており、最も人気の高かった時期だということが窺い知れる。
 さてこの『Third』、前作の3人に加えてエルトン・ディーン(sax)をはじめとするホーン部隊が加わったことにより、音楽がよりジャズに近づいている。
 1曲目「Facelift」はソフツの代表曲。軽快なリズムにのってラトリッジのオルガンソロが駆け巡り、ブラス隊が壮絶なオブリガートで絡む様は圧巻。
次の「Slightly All The Time」はむしろ『Seven』時のソフツが演奏しそうなジャズロック。
 4曲目「Out-Bloody-Rageous」は、ソフツとしては珍しくアコースティック・ピアノによるバッキングが印象的。だがディーンのサックスによるテーマ(カッコイイ!)がはじまるといかにもソフツだし、オルガン・ソロも相変わらず。この曲にラトリッジの音楽性が強く出ている気がする。
 順序が逆になったが、3曲目の「Moon In June」はソフツ最後のヴォーカルナンバー。ジャズ色強いこのアルバムの中ではかなり異色なポップ組曲だが、ロバート・ワイアットの神様のような歌声と、歌以上に歌っているドラミングが堪能できる名曲である。後半ではラトリッジのオルガンソロを中心とした激しいインタープレイが繰り広げられる。なお、この曲1:20過ぎに不思議な音のギター・ソロがあるが、これはフェンダー・BassVIという6弦ベースによるもの。6弦ベースというと普通は低音側に弦を増やしたものだが、このベースは高音側に弦を増やし、普通のギターのちょうど1オクターヴ下の音域をもっている。『Seven』から加入したロイ・バビントンも使用していた。
★★★★★★★★★★(10)
last update:2003/12/22
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Fourth 1971
Fourth
1. Teeth (9:14)
2. Kings And Queens (5:02)
3. Fletcher's Blemish (4:37)
4. Virtually Part 1 (5:15)
5. Virtually Part 2 (7:06)
6. Virtually Part 3 (4:39)
7. Virtually Part 4 (3:18)
 文字通りの4作目。
 とうとう歌物の曲がなくなり、完全インストアルバムとなった。しかもウッドベースなどが使用されているので相当にジャズっぽい。その結果、ドラムに徹することになったロバート・ワイアットが、本作限りでソフツを脱退してしまう。カンタベリー系のカリスマドラマーだっただけに、ソフツにとっては痛い脱退だったのではなかろうか?
 本作はそのロバート・ワイアットと、マイク・ラトリッジ、ヒュー・ホッパー、エルトン・ディーンの4名がメインメンバーで、ホーンセクションはゲスト参加となっている。通算4枚目のアルバムであることを示しているタイトルは、同時に4人編成であることをアピールしているのかもしれない。
 さて内容だが、前述の通りかなりジャズっぽい。言い換えればエルトン・ディーン色が強まったということであるが、そこはソフツ。単純なジャズセッションにはせず、しっかりしたアンサンブルの骨組みを築いた上での限りないジャズへのアプローチである。
 ド派手な前作と比べれば地味な印象は拭えないが、歌物がない以外は実は前作の延長線にあることが、じっくり聴いているうちにわかってくるはずである。そして1曲目「Teeth」は、じっくり聴かなくてもストレートにかっこいい!

 それにしてもこのジャケット。なんという怪しさか。
 宇宙人みたいなおかっぱ頭の上からグラサンをかけた口髭の男(ラトリッジ)。ジャケットを裏返すと井上ひ〇しライクな男(ホッパー)まで写っている。
 昔、近所のCD屋で「ソ」の棚を物色していたとき、いきなりこの胡散臭い集団が現れて、私を一気に虜にしてしまった。いわゆるロックスターとは正反対のビジュアルを持つこの連中が、一体どんな音楽を演るのか人として興味を持つのは当然のことであろう?(笑)
★★★★★★★(7)
last update:2005/03/08
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Fifth 1972
Fifth
1. All White (6:06)
2. Drop (7:43)
3. M C (4:54)
4. As if (8:23)
5. L B O (1:31)
6. Pigling Bland (4:23)
7. Bone (3:30)
 言うまでもなく5枚目。
 前作で抜けたロバート・ワイアットに代わり、フィル・ハワードというドラマーが新加入。しかしフリーフォームなジャズドラムを好んだこのドラマーは、アンサンブル重視のラトリッジ、ホッパーの音楽性と合わず、アルバム制作途中でさっさと脱退してしまう。
 代わって入ったのが、ソフツと比肩する英ジャズ・ロックの名門ニュークリアスの元ドラマーで、後期ソフツの重要メンバーとなる、ジョン・マーシャルである。
 よってこのアルバムは、前半(A面)と後半(B面)でドラマーが異なっている。
 ハワードが叩いている1曲目「All White」は、ワイアット時代からライヴで定番だった曲だが、ジャズという枠に捕われず自由奔放に叩いていたワイアットと比較すると、ハワードのドラミングはいかにもジャズ。これはこれで面白いが、ソフトマシーンというバンドのドラムとしては疑問符がついてしまう。
 続く「Drop」もアグレッシヴなフリー・ジャズだが、こちらはラトリッジの強烈なオルガン・ソロが大々的にフィーチュアされており、本アルバム最大の目玉。いくらリズムがジャズっぽくても、ラトリッジのオルガンサウンドが出てくると、ソフトマシーン以外の何者でもなくなるところが流石である。
 一方、ジョン・マーシャルが叩く後半は、曲そのものが大人しいので本領発揮とまでは行っていない。とはいえ「Pigling bland」などでは、後期ソフツを支えたロック色の強いパワフルなドラミングがその片鱗を見せ始めている。
 ジャズに傾きかけたソフツがジャズとロックの中間点で再びバランスを保つようになったのは、他でもないこのジョン・マーシャルの力によるところが大きい。本作の前後半を聴き比べると、それがよくわかるはずである。
★★★★★★(6)
last update:2005/03/08
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Six 1973
Six
1. Fanfare (0:44)
2. All White (4:48)
3. Between (2:24)
4. Riff (4:32)
5. 37 ½ (6:51)
6. Gesolreut (6:15)
7. E.P.V. (2:47)
8. Lefty (5:01)
9. Stumble (1:36)
10. 5 From 13 (For Phil Seamen With Love & Thanks) (5:18)
11. Riff II (1:23)
12. The Soft Weed Factor (11:12)
13. Stanley Stamps Gibbon Album (For B.O.) (5:56)
14. Chloe And The Pirates (9:26)
15. 1983 (7:55)
 まず前作からの重要な変更点から。サックス奏者エルトン・ディーンが脱退し、カール・ジェンキンスが加入した。
 カール・ジェンキンスといえば、近頃はアディエマスというニューエイジ系の音楽で名を馳せている作曲家だが、当時はサックス、オーボエ、そしてキーボードのプレイヤーとしてソフツに参加。また元々はニュークリアスでジョン・マーシャルと同じ釜の飯を食っていた仲でもある。
 今の活躍を見ればわかると思うがとても才能溢れる人物で、ニュークリアスでも曲の大半を書いていたぐらいである。にもかかわらず何故か自分のバンドを作らず、他人のバンドを渡り歩いていたのだから不思議だ。まるで三国志の劉備玄徳のようである。とはいえ才能ある人物が大人しく演奏のみに徹するはずもなく、本作で早速音楽的なイニシアチヴを握っている。
 執拗なリフの反復。これがカール・ジェンキンスの音楽的個性。そしてその個性は本作以降のソフツの特徴となっていく。
 よく、ソフツ時代のジェンキンスにアディエマスの影を見出そうとするのは間違っている、と云われる。が、果たしてそうだろうか? 私はアディエマスの「聖なる海の歌声」を初めて聴いたとき、非常にジェンキンスらしい曲だなと思った。それは曲想こそまるで違うものの、反復をモチーフにしているという点で共通していたからだ。たしかにアディエマスから遡って聴くと、ソフツ時代の曲は違和感だらけなのかもしれない。だがソフツを先に聴いているとアディエマスの曲も案外納得できてしまうのである。
 話がそれたが、本作はそのカール・ジェンキンスの反復リフによるジャズ・ロックが満載の2枚組(レコード時)アルバムである。1枚目はライヴで2枚目はスタジオ録音であった。
 ライヴといってもお馴染み「All White」を除いては全て未発表曲。その未発表曲をズラズラとメドレーのように演奏していくのはソフツの伝統である。
 メドレー形式なので1曲1曲のイメージが散漫な気がしないでもないが、ジェンキンス&マーシャルのニュークリアス組が大暴れすることにより、新生ソフトマシーンがジャズではなく「ジャズ・ロック」バンドであることを強く印象付けたのは間違いない。
 一方、スタジオサイドはミニマル的な実験色の強い曲や、カウベルの効いたファンキーなジャズロックなど、この音楽頭脳集団の無限の可能性を感じさせる好演揃い。だが残念なことに、2ndアルバムからバンドのボトムを支えてきたヒュー・ホッパーが、本作を最後に脱退してしまう。
★★★★★★★(7)
last update:2005/03/10
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Seven 1973
Seven
1. Nettle Bed (4:49)
2. Carol Ann (3:45)
3. Day's Eye (5:04)
4. Bone Fire (0:34)
5. Tarabos (4:32)
6. D.I.S. (3:01)
7. Snodland (1:50)
8. Penny Hitch (6:40)
9. Block (4:20)
10. Down the Road (6:03)
11. The German Lesson (1:33)
12. The French Lesson (0:59)
 7th。『Third』で加入してきたジャズメンは既におらず、初期のメンバーも次々に抜けていったため、オリジナルメンバーはマイク・ラトリッジただ一人となってしまった。逆にジョン・マーシャル、カール・ジェンキンス、ロイ・バビントン(ベース。本作からだが、『Fourth』『Fifth』でゲスト参加)という元ニュークリアスの面々がメンバーに収まったため、これまでのようなフリージャズ的な部分が薄れ、ニュークリアスばりのジャズロック・アルバムに仕上がっている。本作こそソフツの最高傑作だという人もいる。
『Third』時のような大作はもはやなくなり、短めの曲が継ぎ目なく収録されているが、そのほとんどはジェンキンスの作。ソフトマシーンというよりカール・ジェンキンス・グループといった感じだが、ラトリッジのオルガンはまだ健在。
 リフの偏執狂的リピートや変拍子など聴き所も多く、後期ソフツを代表するアルバムであることには間違いない。
★★★★★★★(7)
last update:2003/12/22
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Bundles 1975
Bundles
CoverArt:
Reg Cartwright
1. Hazard Profile Part 1 (9:18)
2. Hazard Profile Part 2 (2:15)
3. Hazard Profile Part 3 (0:33)
4. Hazard Profile Part 4 (1:26)
5. Hazard Profile Part 5 (5:27)
6. Gone Sailing (1:02)
7. Bundles (3:14)
8. Land Of The Bag Snake (3:36)
9. The Man Who Waved At Trains (1:51)
10. Peff (1:58)
11. Four Gongs Two Drums (4:10)
12. The Floating World (7:12)
 8th。これまでずっと数字で表してきたアルバムタイトルも前作『Seven』で終わり、本作以降普通の言葉が用いられるようになった。
 本作では前作のメンバーに加え、泣く子も黙る超絶技巧ギタリストのアラン・ホールズワースが新メンバーとして参加。これまで基本的にはギターレスだったソフツだが、ここへきてのギター導入はバンドをよりクロスオーバー(フュージョン)寄りに傾けることになる。
 本作最大の聴き所は、1曲目「Hazard Profile Part 1」だろう。現在でもトップ・ギタリストとして活躍するホールズワースのベスト・プレイとして名高い、約7分にも及ぶ素晴らしいギターソロが聴ける。曲調がロックっぽくてカッコよく、メインリフを変形させた変拍子のキメなどはゾクゾクするものがある。ソロ部の各パートは基本的にインプロヴィゼーションなのだろうが、CDタイム8:00頃ギターに呼応してドラムがロールする部分など意図的なところもあり、聴いていて飽きがこない。ソフツは普通のジャズと違い、誰かがソロを弾いていても他のパートはサポートに回るということをしない。この曲でもドラムとベースはギターソロなどお構いなしのやりたい放題である。だがそれが逆にお互いの刺激となり、迫力ある演奏になるのだろう。
 なお、このアルバムを最後にマイク・ラトリッジは脱退(ホールズワースも)。ついにオリジナルメンバーはいなくなってしまう。
 これ以降のアルバムでソフツは急速にフュージョン化が進む。
★★★★★★★★(8)
last update:2003/12/22
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