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| ユニヴェル・ゼロ |
Belgium |
ベルギーのチェンバーロックグループ。
チェンバーとは室内楽のことだが、このグループの音楽はセレブなお屋敷の食卓で流れているような(?)爽やかなものでは決してない。負のパワーで闇を導く魔女の呪いのような音がこのユニヴェル・ゼロである。
中心人物はドラムのダニエル・デニ。既成の音楽理論に囚われない複雑な楽曲を次々に生み出していく彼の懐の深さは驚愕に値する。
またもう一人、ミシェル・ベルクマンもサウンドの要。彼の演奏するオーボエやバスーンといったダブルリード系管楽器のくぐもった音こそが、ユニヴェル・ゼロをチェンバーたらしめているのである。 |
| http://www.univers-zero.com/ |
| 1313 |
1977 |
1. Ronde
(15:13)
2. Carabosse
(3:47)
3. Docteur Petiot
(7:45)
4. Malaise
(7:59)
5. Complainte
(3:22)
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2nd以降を聴いていくとわかるが、このデビューアルバムが暗黒の最深部にあるといえる。
音楽的背景に初期マグマの影響があるようだが、「暗黒」の性質はだいぶ異なっているように思う。空間的暗黒のマグマと閉鎖的暗黒のユニヴェル・ゼロ。
マグマがそのバンドコンセプトからSF的(宇宙的)な闇を連想させるのに対し、ユニヴェル・ゼロは人間に程近い所に生じるオカルティックな闇なのである。
本作と次の『HERESIE』は、ヘッドホンでのリスニングはお薦めしない。なぜなら深く聴き込み過ぎるとそのまま呪術にかかってしまいそうだから。いや、この不協和音の連続が心地よくなっている時点で、既に呪われているのかもしれない・・・。
なお、本作ではまだオーボエよりもバイオリンの主張が強い。なので聴き様によっては『太陽と旋律』以降のキングクリムゾンによるフリーインプロっぽくもある。 |
| ★★★★★★★(7) |
| last update:2005/02/01 |
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| Heresie |
1979 |
1. La Faulx
(25:19)
2. Jack the Ripper
(13:29)
3. Vous Le Saurez En Temps Voulu
(12:56)
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前作の延長線的な2ndアルバム。だが、鳥肌が立つような凄みと圧迫感は前作の比ではない。一音一音がまるで魔方陣に配置される儀式の品々のように、無駄なく正確に並べられていく。そうして完成する黒魔術は、前作のような軽い錯乱を引き起こす程度のものではない。相手を確実に破滅に追い込むものだ。
言霊(ことだま)という言葉があるが、本作、とりわけ1曲目「La Faulx」のあらゆる音には言霊ならぬ音霊が宿っているように思えてならない。特にデニのドラミングは、シンバル1発、タム1発にも深い意味が込められていそうである。リズムを刻むというよりはメロディーの一つとして楽曲に溶け込んでいる。
「La Faulx」の前半は、呪術を行っているかのようなボイスが続く。はじめは静かに読み上げているが、周りのバイオリンに煽られ、次第にボルテージが上がって言葉にならない叫びと化す。人ならぬ者が術者に憑依したのだろうか、声のトーンが変わり、やがて儀式は終了する。
オーボエ/バスーン、バイオリン/ビオラのチェンバー組が白玉を引っ張っている下で、ギター、ベース、ドラムのロック組が細かくリズムを刻み出す。そして、節目節目には両組一体のヒステリックなキメ。聴感的には派手ではないものの、術の力なのか人間の黒い本能が鷲掴みにされ、ずるずると向こうへ引きずり込まれる。
だがやがてその術も尽きて暗い静寂が訪れる。そこはもはや人が足を踏み入れてはならない領域。
静寂の中、時折炸裂するドラムは、左右の暗がりに蠢く名状し難い禍々しいもの。出口のわからない迷宮だが、遠巻きに行く手を阻まれ、ただ一方向のみ道が開かれている。けれども、深く進む程にドラムの鼓動は早まり、まわりも賑やかになってくる。バイオリンは怪鳥のように叫び、オーボエの調べは理性があるがどこか偽善的だ。そうして、意識をもった全ての音は、迷い込んだ聴者を「ある一点」へ追い込む。そのポイントを越えると人は自我を失い、逃げることを忘れるのだ。
そこを通り過ぎた時、すべての音は先ほどまでの混沌を収め整列を開始する。ホールトーンスケールによる無表情な旋律が、まるで止まることのない歯車のようにゆっくりと、しかし力強く聴者を前へ送り出す。最後の場所が近づくにつれ、全ての音は整然としながらも、どこか畏れ、穏やかならぬ空気を孕んでくる。
そして辿り着く「そこ」に待ち受けているのは、大鎌を構えた黒い人物---冥府の使いなのである。
※「faulx」は「faux」の古語で「鎌」の意だそうだ。鎌は日本では単なる農具だが、西洋においては「死」の象徴とされている。そう考えたら、上記のようなイメージが浮かんだ。ダニエル・デニが実際にはどんなコンセプトでこの曲を書いたのかは知らないが、少なくとも私が「最後の場所」と表現したCDの24:17から始まる部分が、一切の慈悲を欠いた破滅の旋律であることは誰が聴いても明らかではないだろうか?
この「La Faulx」は、音楽の可能性を追求していった先にある一つの結論なのだ。 |
| ★★★★★★★★★★!(10) |
| last update:2005/02/05 |
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| Ceux Du Dehors |
1981 |
| 祝祭の時 |
1. Dense
(12:27)
2. La Corne Du Bois Des Pendus
(8:42)
3. Bonjour Chez Vous
(3:52)
4. Combat
(12:53)
5. La Musique D'Erich Zann
(3:29)
6. La Tete Du Corbeau
(3:12)
7. Triomphe Des Mouches
(5:34)
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ジャケットに色が付いただけなのに、音楽的にも前2作と方向性が変わったような気がしてしまうのだから、視覚が聴覚に与える影響も侮れない。実際には今までのスタイルの延長線上にあり、オープニングナンバー等で若干ジャズロック的な躍動感が加わったというところ。
異常な怨念によって暗黒に傾きすぎた「La Faulx」のような曲が影をひそめたので、音楽としてのバランスがよくなった。それゆえ本作を最高傑作とする人も多い。
ただ私のように音楽に音楽以上のものを求める人間としては、少々物足りなくもある。 |
| ★★★★★★★★(8) |
| last update:2005/07/24 |
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| Uzed |
1984 |
1. Présage
(9:52)
2. L'Etrange Mixture Du Docteur Schwartz
(3:56)
3. Célesta (for Chantal)
(6:55)
4. Parade
(6:39)
5. Emmanations
(15:41)
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ミシェル・ベルクマンの不在、シンセやエレピといったエレクトリック・サウンドの多用、スラップ・ベースなど、今までの作品とはだいぶ趣の異なる4thアルバム。
例えばオープニングナンバー「Presage」は、エレピやベースのリフにバイオリンや管楽器の旋律が乗っかるジャズロックタイプの曲で、アンサンブル重視だった過去の曲に比べるとだいぶフリーキー。けれども各楽器によるソロの応酬といった安易な展開にはならず、中間部の壮絶なキメ以降は綿密に練られた緩急ある構成を辿りながらエンディングに向かっていく。リズミカルな曲であるため暗黒の度合いが薄く感じられるものの、尋常でないメロディとハーモニー、そしてデニのひねくれたドラミングによって、やはりこれもユニヴェル・ゼロなのだと納得させられる。
圧巻はラストの「Emmanations」。ドラムとベースがインパクトをシンクロさせながらゆったりとしたテンポで進行していく流れが、どことなくMAGMAの「Kohntarkosz」前半を思わせるが、最後に一気にテンポアップし畳み掛けるようなド派手なキメで問答無用に曲を終わらせてしまう強引さはMAGMAにもないカッコ良さ。シンセ、エレピの煌びやかな音色と、管弦楽器のモノトーンな音色の融合も見事。
ユニヴェル・ゼロの音楽の真髄は2nd『Heresie』の「La Faulx」だと個人的には考えるが、その暗く深い暗黒へ下りゆく初めの一歩としては本作をお薦めしたい。Soft Machineの『Third』を聴ける人ならば、当アルバムもあまり違和感なく聴くことができる・・・という程度には音楽的にまともだからだ。といっても軟弱化したわけではなく、これもまた彼らの代表作として数えられるほどユニヴェル・ゼロらしい作品なのである。 |
| ★★★★★★★★★★(10) |
| last update:2005/08/16 |
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